月1連載「Road to Opal」

Road to Opal 9-a

時は2022年7月某日
32ヶ月ぶりにオーストラリアに降り立つ。
前号での顛末の通りライトニングリッヂの2人目のアポが空振りに終わり、次の目的地へと向かう洋灯舎。
天気は申し分なく、快適と思われた運転だったが、ここ最近の豪雨の影響で、道のあちこちが陥没していたりと、いきなりスリリングな展開に直面。
目的地はカナムラ。ライトニングリッヂからハンドルを握ること、慣れていればおよそ5時間。オーストラリア大陸内の1日の移動距離としてかなり短い方。かつてはダート道区間もそれなりにあり、冒険気分を味わえたものだったのだけど、今では完全舗装区間になっており、少し物寂しさすらも感じる事にに。現地の人達からすれば良い事しかないのに、たまにしか訪れない旅行者の一方的な我儘ここに極まれり。
夕方17:30頃、カナムラ到着。日の入りが18:00頃なので、どうにか暗くなる前に到着。オーストラリア、特にアウトバックでの夜間の運転は基本避けた方が良い。夜行性のカンガルーやワラビー🦘が活発に活動を開始する中での運転は危険極まりない。実際洋灯舎も過去に幾度か彼等の特攻に会い、車を破壊された経験もあったりする。もちろん先住者である彼等にしたら、邪魔なのは人間であるのは明らかなのだが、、。
無事にカナムラに到着、まずは定宿でもあるWarrego Hotelにチェックイン。
余談てすが、、
今でこそ綺麗なモーテル部屋も併設されているこのホテル、15年位前までは、街中のパブの2階部分が宿泊施設になっているような、いわゆるオーストラリアスタイルのホテル。2階の個室も狭く、薄暗く、ベッドは貧相、バストイレ共同、ドアの鍵といえばハリガネフック式の超絶シンプルなもので、子供のキック一つで蹴破れそうな、そんな心許ないつくりだったわけで、やはりいかにここ15年位で様変わりしたのかをつくづく感じさせられる旅でもあるのです。
一夜あけ、いよいよこの先は本格的な赤土の荒野の奥へと目指して行くことに🚗
詳細は書けないのてすが、今回は現役稼働中の鉱山に入山する事になっていて、採掘も手伝いつつ、かつ、現地に泊まらせてもらえるていう珍しい展開に。通常、現役鉱山に他人を招き入れることはまずない中、今回の待遇はかなり異例な事とも思われる。
各地に点在するオパール鉱山エリアには観光客向けの鉱山採掘体験などあったりはするものの、あれとは全くの別物。今回洋灯舎が入山したのはガチの鉱山。
前者は、言葉は悪いかもしれないですが、いわゆるヤラセ的なアトラクション、そう、言ってみれば渓流脇に造られた釣り堀のようなもの。釣り堀に投入された鮎やイワナを釣っているような感覚。
本当の、天然の渓流釣りスポットは他人に知られないように隠し通す、秘密のスポット、いわばトップシークレットなわけです。
それが今回後者であるガチ鉱山⚒なのです。余程でないと入れない事は過去の経験からも知っているので、興奮は隠せない。なによりも洋灯舎を信用してくれている事実にただただ感謝。
今回はいわゆる「オープンカット」、露天掘りの現場を手伝うことに。動画の通り、大型のシャベルカーで鉱脈を掘りながら、オパールがないかを目で、手で、探る作業。怪しげな原石があれば片っ端からハンマーで叩き割る🔨。これが面白い、が、なかなかに重労働。
久しぶりの採掘でまず思ったのは
「オパールでてこねー!!!!」。
わずかながらの遊色を探し当てるだけでも大変なわけです。
もちろん運の要因も少なからずある世界ですが、日頃、目にしている、美しく研磨された状態のオパールがいかに希少なモノかと言う点。
間違いなく言えるのが、こうしたリアルな現場を体験すると、今までのオパールに対する認識が劇的に変わるであろうという事。
あらためて肝要な部分は伏せますが、今回は他では得難い経験を得ることができた。単にリアルな採掘現場を体験できたという訳でなく、数十年に渡り採掘をしている経験豊富な彼等との会話から得られた多岐にわたる情報の数々。
にわかな関係性では知るうることの出来ない、オーストラリアのオパール産業がこれから直面するであろう現実。それらの情報群をどう噛み砕き、飲み込むべきか、そして次に打つべき手立ての方向性すらもがうっすらと見え始めた。そんな貴重な時間を過ごせたのです。
20年以上に渡り、現地鉱山を訪れ、膨大な時間と労力と経費をかけて、積み上げてきた洋灯舎なりの現地との関わりが、今、小さいながらも実を結びつつあると。
らしからず、少々マジメに語ってしまったわけですが、それ程インパクトの大きい、収穫の多い時間を過ごせたのだと、どうか想像いただきたい。
他にもくだらない、他愛のない無駄話しにも花を咲かせつつ、薪ストーブを囲みながら、程よくアルコールも回った頃合いを見計らい、用意してもらった離れのベッドに潜り込み、知らず知らずの内に眠りに落ちた。
窓を透ける、満月を浴びながら、ようやく長い1日を終えた。

次号、時はふたたび2001年へと
過去と現在が交錯する洋灯舎オパール譚

   
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