HOME INFORMATION月1連載「Road to Opal」

Road to Opal 26(最終話)

時は2001年12月某日

「穴の中の白人」の町を後にすると、いよいよオパール鉱山巡りも最終局面を迎える。
大陸縦断道路87号線をさらに数百キロ南下し、途中にある分岐点を北上しつづけるとやがてアンダムーカと呼ばれるオパール鉱山町に辿り着く。クーバーペティから丸一日かけて到達する距離だ。当時の写真はもう残っておらず、あまり記憶も定かではないが、真夏だった事もありほとんどの施設が閉まっていた中、かろうじて営業中のオパールショップの扉を叩いた。
オパールの知識もたいしてない中、店の主人からアンダムーカのオパールは透明度の高い、非常に美しいもので、クリスタルオパールとも呼ばれているとの事を、どこか誇らしげに蘊蓄をかまされたように記憶している。「どれどれ、そこまで言うからにはどんなもんだ」と言わんばかりガラスショーケースの中を覗くと、それは確かに素人目にみても光り輝く、透明度の高いオパールが燦然と展示されているではないですか。30手前のおじさん2人が興味津々にショーケースの中身を覗きこんでいると何を勘違いしたのか、、
店主「どうだ、安くするぞ」
おじさん「(お?そうかそうか、一応聞いてみるか)なんぼや?」
店主「そうだな、ここのセットで1,000万でどうだ?」
おじさん「そうかぁ、うーむ・・今回は辞めておくよ、残念だけど・・・」(心の声・買えるか!そんなもん!!)
実際の会話内容はかなりうろ覚えなのだけど、雰囲気としては大体こんな感じだったであろう。でもまぁ確かに今となって思えばその価格は妥当であったのであろうと思う位美しいクリスタルオパールのセットだったようには思うものの、当時はど素人の上、貧乏ときたものだから、「何を言っているのだ、このオヤジは」程度の感覚である。まぁオヤジには無駄な期待をさせてしまい申し訳ないと思いつつ、なけなしの資金をつぎ込み、どうにかこうにか手の届きそうなきれいめなクリスタルオパールを数点購入したのである。実はこのアンダムーカで当時購入したクリスタルオパール、いまだも奇跡的に2点ほど残っているのだが、これはまた別の機会にて紹介したいと思う。
そしてアンダムーカを後にするといよいよオパール鉱山巡り最後の地を目指しふたたび長い道のりをハンドルを握った。
長かかったようで短かったオパール鉱山巡りの旅の最後はWhite Cliffsと呼ばれるこれまたアウトバックに位置する鉱山町だ。
当時の写真も何も残っていないなか、記憶も曖昧だが、やはり酷暑のせいだったか店はほとんど空いてなく、人もまばらな典型的なアウトバックタウンだったのは覚えている。後に現代編で再訪した際にはもう少しこの町の面白さ、特異性がしっかりと記録できているので、また別の機会にてもっと掘り下げた紹介をしたいとは思うのだが、今回は勘弁してもらおう。
11月12日のオーストラリア上陸から、長かったようであっという間の旅路だ。この間、せいぜい一か月位であっただろうか。弾丸工程といえばそうなのだが、内容は濃密であり、これまでの人生でまったくゆかりのなかったオパールという宝石を追い求めた未熟な2人のものがたりとして、備忘録がてら紹介させてもらいました。
赤いファルコン号とともにオーストラリアの熱い大地を走り抜いた当時30手前だったオジサン2人も、今ではすっかりと五十路に突入し、それぞれの人生ステージを進むようにはなったものの、相方Kとは腐れ縁として今でもしっかりと繋がっているのははたしてうれしいことなのかなんなのか。この相方Kについてもいずれの機会で紹介したいが、それもまた別のスピンオフ物語にて。
とにもかくにも、勢いだけでオーストラリアにわたり、なけなしの資金をはたいてオパール鉱山をあちらこちらと巡ってはみたものの、結果的には思っていたほどの大冒険もできず、いうほどの収穫も得られなかったわけだが、その当時の経験が今の礎になっていることを当時の記憶と思い返すと感慨深いものがある。やはり何事も挑戦なのだな。
WhiteCliffsを去った後にももちろん旅はしばらく続くわけだが、それはオパールとは関係のない部分になるのでその話はまた別の機会にでもおもしろおかしく綴れたらなどと思っていたりします。
いつまでもグダグダと書き続けるのも芸がないので今号をもって一旦、月1連載という形には区切りをつけさせてください。
今後は現代編を中心に、かつての旅のスピンオフ編(けっこう色々なこともあったり)、そして何か手立てがあれば読者の皆様のリクエストに応えるような内容なども特別編という形にて不定期に掲載を続けてゆきたいと思います。

たゆたうオパール道に終わりはなく、これからもただひたすらにオパールを探し求めてオーストラリアの大地を徘徊しつづけることになるでしょう。
今後はRoad To Opalの不定期掲載にご期待くださいませ。

オチ無し、尻切れトンボの素人物語りに2年以上に渡り、最後まで根気よくお付き合いいただきまして誠にありがとうございました。

洋灯舎

   
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