HOME INFORMATION月1連載「Road to Opal」

Road to Opal 15

時は2001年11月某日
無事に人生初めてとなる闇取引?を切り抜けた30手前のオジサン2人は、次なる目的地を目指しキルピーをあとにすることに。
今と違いスマホを持っているでもなく、ゆく先々にWifiがあってなんでも調べられるわけでもない20年前。オパールの素人にとっては情報収集もままならない時代、オパール行脚の唯一と言っても良い情報源は「始まりの一冊」だったのです。そんなバイブルを頼りに次は南オーストラリア州のMintabie、ミンタビーを目指すことにし、一気に大陸大移動をすることになったわけです。
もちろんキルピー周辺にもオパール鉱山は多数存在し、特にクイーンズボルダーと呼ばれる位、ボルダーオパールといえばクイーンズランド州なわけなのでまだまだ周辺地域に面白そうなエリアはいくらでもあったのですが、軍資金やその他諸々の問題もあり通過することに。
キルピーからミンタビーまでの距離は北回りでおよそ4000キロ弱くらいであっただろうか。さすがオーストラリア大陸、移動のスケール間が半端ない。
当然車で何日もかかる工程なのできざみきざみに進みながら行くとことになるので、まずはQuilpie~Windorah~Jundah~LongReachとアウトバックをひた走り、Wintonを目指すことに。その先はまた道程が長いので以降の機会にでも紹介してゆこう。
2023年の今となってはかなりの区間が舗装道路に整備されているものの、いかんせん当時はまだまだ赤土むき出しの道路や、砂利道区間も多く、かつ真夏の灼熱下の運転とあって非常に過酷だったのはよく覚えている。エアコンもろくに効かない車内とあって、車の窓は全開で走るわけですが、乾燥しているせいか日本の夏のような、じとっとした感じはないので案外苦には感じない。が、気が付けばあっという間に2リットルの水を飲みほしていたりするので実は身体は無意識のうちに大量の水分を欲しているような気候なので油断は禁物である。
そんな過酷な道中でいくつもの忘れることのできないエピソードの一つに、おそらくあれは確かキルピーをしばらくたったあたりだったと思う、赤土の、いかにもアウトバックな道路を時速80キロくらいで走っていた時だ。右カーブに差し掛かったときだ、右の茂みの奥から何やら複数の個体がうごめいているような気配を右目の端で捉えたと思った矢先、突如エミューの群れが大挙して道路に飛び出してくるではないか。
慌ててブレーキを踏みつつ交わそうとすると、瞬く間に後輪がスリップしはじめ、車体を持ち直そうと意識もせずに反対方向にハンドルを小刻みに切り、揺り戻しを繰り返しながらどうにか体制の立て直しに成功。
そう、人生初めての逆ハンドル体験をすることになったのである。そんなオーストラリア版リアルサファリパークを満喫してしながらも、ようやくLongReachを通過し、次なる宿泊地Wintonまであと70キロか80キロを切ったあたりの事だったろうか。何気なくふと水温計に目を移すと明らかに高温状態を示しているではないですか。慌てて、道端に車を停めて、2000豪ドルで購入したファルコン号の赤いボンネットをあけて、まずはラジエーターに飲み水を継ぎ足してみる。すると少し回復をするので安心して、再度走り始めるとほんの数キロ走っただけで再び水温計が一気に危険水域に。またまた慌てて、止めようと減速しつつ左に寄せはじめると瞬く間にボンネットから煙が噴き出し始めるのである。
内心「まじか、、、」。まじである。
時刻は夕方4時近く。陽が落ちるまであと数時間。一番近くの町Wintonまではまだまだ数十キロ。行き交う車は、、ほとんどいない。。
そこにはただただ途方に暮れ始める30手前のおじさん2人と、ただただ白煙を吐き続ける車がある。

次号「どうなるファルコン号!?」

   
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