月1連載「Road to Opal」

Road to Opal 10

時はふたたび遡る事、2001年11月某日、
ニューサウスウェールズ州。

勢いむなしく、ライトニングリッヂ滞在中にこれと行った成果も得られなかった30手前のおじさん2人。早くも現実を思い知らされる。
良い年して浅はかであり、思慮に欠け、短絡であり、計画倒れも甚だしい旅の始まりであるも、悲壮感も特になく、のほほんとした2人。そう、馬鹿なのである。そもそもバカでなければいたらない発送に基づいた旅なのだから、うまく行かないとて、気にもかからない。
「次にむかえ!」なのである。
「始まりの一冊」をたよりに、地図を広げて、次の目的地として候補に上がったのがYowah。
なにやら聞き慣れない呼び名のこの小さな村。
ヤワとかヨーワとか、呼び方は人によって様々ですが、洋灯舎的には「ヤワ」としよう。
ライトニングリッヂからの距離はルートにもよるが、およそ700km。今と違って道路はほぼ未舗装のオール砂利道スタイル。この悪路がいかに2000豪ドルのFalcon号にダメージを蓄積させたのから、後々痛いほど知る事になるわけです。
当時のルートは記憶を辿るに確か、Lightning Ridge〜Hebel〜Dirranbandi〜Bolonを抜けてCunnamullaを経由してからのYowahだったと思います。車のナビも、スマホのナビも、なにもないなか、今思えば大した情報もなしに良く突っ込んで行ったものだと我ながら関心します。何も考えていないと言えばそれまでなのですけど、その行動があって今につながっている事を思うと、勢いというものは時によっては大事なのだなぁと改めて感じるわけです。。
ヤワ、、繁忙期でさえ人口200人程と言われている小さな町?村?。当時、初めて訪れた時はいわゆるシーズンオフの、夏の盛りに入ろうとしていた時期だったので、恐らく人口は100人にも満たなかったのではなかろうか。
スーパーもカフェもまだ何もなかったなか、かろうじて共同売店のような、小さな雑貨屋兼食料品屋が一店と、その隣には当時まだ建設途中の簡易モーテルが5室ほど。キャンピングカーでもなんでもない車で到着した我々は他に宿泊手段のあてもないので、この部屋に世話になることに。
モーテルと言えば聞こえは良いのですが、まだ建設途中の一室で(今となれば未完成の宿に宿泊する方も、させる方も凄い、、)、電気は薄暗い裸電球がぶらりと垂れさがり、シャワー室の床も未完成の水バシャバシャ状態、入り口のドアに至っては地面との隙間ガバガバの虫入り放題。室内の壁にはヤモリが何匹もへばりついてるような、書きながら思い出すだけでも背筋かゾワゾワするような怪奇ゾーンだったわけで、「これで良くカネとるな!!」的な部屋だったのです。
それでも他に選択肢がないから仕方なく、ここを滞在中の我らが居城として、いよいよ後に洋灯舎が扱う代表的なオパール、ピクチャーオパールの聖地とも呼べるヤワを巡ることになるのです。

   
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