月1連載「Road to Opal」

Road to Opal 12

時は2001年11月某日
前号ではヤワに到着したおじさん2人がついにピクチャーオパールに遭遇した場面で終わりました。

実は今回の写真のピクチャーオパールこそが、2001年当時、実際に初めてヤワにて遭遇し、入手したものの一つです。すでに手元にはありませんが(今となっては惜しい、、)まるで孔雀のような6点からなるセットで、密かにこころの中では「Peacock」と呼んでいたものです。
不思議であり、複雑であり、美しくもあり、時には毒々しさすら感じさせる表情をもつこのピクチャーオパールとは一体何か。
いや、そもそも「オパール」とはなんなのか、、、。
今号はそんなオパールについて簡単ではあるものの、触れてみたいのです。

10月の誕生石として知られるオパール。主要な産地はオーストラリア、メキシコ、エチオピアなどが広く知られています。その語源は諸説あり、ラテン語の「宝の石」を意味する「Opalus」やギリシャ語の「色の変化を見る」の「Opallios」、さらには古代サンスクリット語で「宝石」を意味する「Upala」に由来するとも言われています。宝石としてのオパールの最大の特徴は遊色効果「Play of Color」と呼ばれるオパール特有の色彩効果にあると言えます。オパールを動かした際に幻想的に、揺らめくように、まるで色が戯れているかのように、様々な色の変化が見える光学現象、「遊色効果」こそが、オパールの魅力を語る上で最も重きがおかれる部分なのだと思います。

そしてピクチャーオパールとはオーストラリア産の、いわゆる「ボルダーオパール」の一種です。ボルダー(boulder)とは巨岩、大きな岩、岩の塊と言った意味があり、わかりやすいのは近年オリンピック競技にもなった岩登りスポーツのボルダリング(bouldering)でしょう。
すなわちボルダーオパールとは大雑把に言うと、「岩」と「オパール」が合体しているようなもので「母岩オパール」とも呼ばれます。
ここで言う母岩とは一般的に茶色系の堆積岩で、その堆積岩の表面であったり、隙間にオパールが入り込んでいたりするのです。母岩の種類にはいくつかありますが、代表的なものですと鉄鉱石(iron stone)、砂岩系(sand stone)そして粘土系(clay)が挙げられると思います。
ボルダーオパールの中でも比較的広く知られていると思われるタイプのものは「フルフェイス」と呼ばれるもので、これは母岩の表面にオパール層が面として表れているものです。実際、フルフェイスはオパール層にそって母岩を切断するので、必然的に母岩の表面にきれいなオパール層が現れることとなります。

良く聞かれる質問の一つにピクチャーオパールとボルダーオパールは何が違うの?とありますが、これに対する答えは基本的には「一緒です」になります。ピクチャーオパールはあくまでもボルダーオパールの一種です。ただし、「ボルダーオパール」の項目でも書いたように広く一般的に知られているボルダーオパールはフルフェイスのイメージが強く、同じ母岩オパールといっても、実は見た目はかなり違ってきます。基本的にはボルダーオパール=母岩オパールなのですが、その意味が捉える幅は非常に広いのです。ピクチャーオパールとは見た目の通り、実に複雑に母岩の隙間にオパールが入り込み、まるで風景や絵画のようにも見えることから、現地の採掘人がそのように呼んでいたことを耳にして、言いえて妙と感心し、2001年の遭遇以来20年以上に渡り洋灯舎は使用し続けています。今となってはピクチャーオパールは洋灯舎が扱うオパールの代表的なもので、往々にしてその美しさはまさに想像を超えるものが多く、自然が生み出した奇跡と呼んでも差し支えないと思っています。
洋灯舎では主にオーストラリアクイーンズランド州のヤワ(Yowah)とコロイト(Koroit)と呼ばれる産地周辺のピクチャーオパールを紹介してきているわけなのです。

そんなこんなで、今号は回顧録と言うよりは
オパールのお話しになってしまったわけですが、次号からは再びヤワ周辺の話に戻ることになるやら、ならぬやら、、、。お楽しみに。

次号 「Queensland Boulder」

   
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