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Road to Opal 21 ‘~月1連載企画 緊急号外編〜

時は2023年7月某日アウトバック某所

カナムラを去った後は一路ヤワを目指し、順調に到着する。まずは古くからの馴染みの鉱夫や地元の人達のもとへと向かい、とりあえず成すべき用を足しているうちに時間は飛ぶように過ぎてゆく。ヤワにくるのはこれで何回目だろう。初めて訪れたのが2001年だが、今日にいたるまで間、コロナ禍の最中はもちろん、来れていない年もあれば、近年は1年の間に複数回訪れることもあるので、20回以上は軽く来ているのだろう。22年前から比べれば変わらない不便な部分もあるが、やはり全体的に見れば以前とは比較にならないほどに便利になったものだ。細かいところは過去にも書いているので、今回は省くものの、かつて程の冒険感を感じることが少なくなったのは少し寂しい気もする。たかだかヤワ歴22年ほどの若造が感じるわけだから、40年、50年選手の大先輩方からすればその変化ぶりは凄まじいものだろう。ネット上でいくらでも情報を拾える今となっては、ヤワを訪れるセミプロのような人も断然と増えており、当然そのなかには日本人も少なからずいる。それでもそれはそれで、彼らはより広くヤワやその他のオーストラリアオパールの魅力を日本国内に伝えてくれる役割を担ってくれると考えれば、マーケットの拡大の意味では非常にありがたい存在でもある。ライバルでもあれば、同志とも言えるかもしれない。
話しが逸れてしまったのですが今回のヤワでの滞在は一年に一度開催されるヤワオパールフェスティバルに合わせた形となったのです。開催期間中は多くのオパール鉱夫達がヤワに集結し、屋外エリアにそれぞれの出店を広げ、それを目当てに観光客はもちろん様々な国からオパール業者が集まり、お目当てのオパールを探すことになる。コロナ前に比べてしまえばまだまだ出店者も業者も観光客も少なく寂しさを感じずにはいられないのだが、それでも昔からの顔見知りに多く会える貴重な機会なので、純粋にそれを楽しみたいと思わせてくれる。夜は豪快な焚火とライブ音楽にあわせ、みなそれぞれの時間を楽しみながら過ごす。
そのような一夜を明かすと、世話になった家主に別れを告げ、旅もいよいよ終盤を迎えるのだが、旅の最大の目的地とも言ってよいであろう、地図にも載っていない彼の地を目指す。そう、前回4月にオパール採掘に挑戦した仲間の露営地だ。事前に面白いオパールが見つかったとの連絡を受けていたこともあり空振りの心配はなさそうだ。それ以外にも前回共に採掘した原石がどうなったのか気にもなっていたので、向かう道すがら期待に胸を膨らませながらダート道をひたすら走る。
今回の訪問では旅程の都合もあり、採掘チャレンジの時間はないものの、順調に「面白いオパール」とやらを堪能し、これは実に来た甲斐があったと内心ホクホクしながらも、件の原石はどうなったかと尋ねると「申し訳ない!!馴染みのコレクターが来た時にうっかり見せてしまったら、原石標本としてどうしても譲って欲しいとせがまれ、断りきれなかった」、となんとも申し訳なさそうに言ってきた。「マジか〜、、」一瞬頭には浮かんだものの、一緒に採掘したとは言え、そもそもが彼の鉱山で、彼の許可あっての採掘なわけだ。こちらとしてはお金に換算できない貴重な体験をさせてもらった上で、これからも長く世話になるなか、そこまで申し訳なさそうにしてくれた気持ちを快く汲んで、また次の機会にもっとすごいオパールを見つけようぜと、キンキンに冷えたビールで乾杯した。「事の顛末」としてはあっけない幕切れではあっが、露営地での焚火のかたわら、ジンソーダを片手に、完全なる闇が訪れる直前、わずかな時間だけに浮かび上がるシルエットを眼前にすると細かい事などどうでも良くなる。
このまま、この景色に溶けこんで、混ざり合ってしまいたい、、、

次号、時はふたたび2001年11月某日
「えぃぽぉぉ??」編に

   
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